無事契約が済み、新居が決まったらいよいよ引越しです。引越しは、荷物を運ぶだけではなく、労力と体力を必要とする作業です。
さらに、様々な手続きや手配、お掃除などが必要になってくるので時間との勝負でもあります。
思わぬ出費も多く、何かと予期しないトラブルも発生しがちですので、タイムテーブルやチェックリストを使って、段取り良く進めましょう。
引越し方法としては、大まかに「引越し業者に頼む」と「友達に協力してもらう」といった2つに分けられます。
引越し方法を選ぼう
引越し業者に頼む
数ある引越し業者の中から一社を選び出すための目安として引越し業者を大きく3つに分けられます。
テレビCMなどでも名前をよく耳にする「大手引越し業者」、地元に密着したところが多い「中小引越し業者」、赤帽などでも有名な「軽貨物運送業者」です。
業者のサービス内容や料金、荷物の量等考えた上で自分に一番合う引越し業者に頼みましょう。
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メリット
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・引越しのプロなので、仕事が早くて丁寧です。
引越しのプロですので、荷物の搬出・搬入もテキパキしていますし、建物には養生もしっかり行うので新居の壁などを傷つけるという可能性が限りなく低くなります。
・引越しする人に合ったプランが充実しています。
一人暮らしの人からファミリーなど幅広い客層向けのプランが用意されているため、自分に合った最もいい引越し業者を選ぶことができます。
・荷物や建物に対しての保証がしっかりしています。
引越しは思いかけないトラブルが起きがちです。
しかし、引越し業者に頼むと、建物を傷つけないように壁に布を張ったり、ダンボールなどでクッションを作るなどして引越しの際に問題が起きないよう引越しサービスをしてくれます。
また、荷物に保証をつけているところもあり、作業中に破損などがあった場合には保証が行われますので安心です。
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デメリット
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・料金が高めです。
荷物や建物の保証部分や引越し当日の作業員の数、養生などのサービス内容の部分、それから作業員のプロとしての技術料などが発生しますので、友達に手伝ってもらって自力で引越すよりは料金が高めです。
・日取りを早く決めないと、予約が取れない可能性があります。
引越しの日にちが決まったら、早めに引越し業者に予約を入れておきましょう。
特に2~4月などの繁忙期は引越しの需要が多いので、自分の都合のいい日に予約を取るのが困難な場合があります。
余裕を持って準備しましょう。
・業者選びに失敗すると大変な引越しになってしまう恐れがあります。
業者選びの際、料金の安さだけを重視してしまい、ひどい目にあったという話をよく聞きます。
こういった失敗を防ぐためには、見積もりは複数の業者に、そして時間の余裕があれば電話見積もりだけではなく訪問見積もりも依頼するようにしましょう。
友達に協力してもらう
引越し方法のもう1つのパターンには、気心の知れた友人に協力してもらう方法があります。
手伝ってもらう際には2,3人いれば十分です。あまり多いと逆に人が多すぎて身動きがとれないなんてことにもなりかねません。
友達に引越しを手伝ってもらったら、それなりのお礼をしましょう。
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メリット
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・費用が抑えられます。
業者を使わないで済むので、費用が抑えられます。
しかし、かかる費用(手伝ってくれる友達への謝礼や荷物運びに使う車のレンタル料金)をしっかり計算しないと、業者より高くつく可能性がありますので、注意が必要です。
・好きな日時が選べます。
引越しをする曜日や時間、作業ペースなどを全部自分たちで決められるので、時間の融通が効きます。
しかし、手伝ってくれる友達との日程調整が難しい場合もありますので、なるべく早めに確認しておきましょう。
・面倒な業者の予約が不要です。
引越し業者に頼む際の煩わしい手順が省けますので、気楽に引越しすることができます。
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デメリット
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・レンタカーの準備が必要です。
自分で車を持っていない場合や車が小さい場合にはレンタカーが必要となります。
また、レンタカー料金に加えてガソリン代もかかるので注意しましょう。
土日などにレンタルする場合は早めに予約しておかないと借りられない場合がありますので、余裕を持って予約を入れましょう。
・体力的に疲れます。
業者を頼まずに行う引越しは、肉体的にも精神的にも非常に疲れます。
特に、手伝ってくれる友達への気配りが意外と大変です。
業者なら何も言わず黙々と作業をしてくれますが、友達にお願いする場合は、場の雰囲気なども把握しなければなりません。
友達に気を遣いつつ、自分も重労働をこなし、さらに引越しが終わった後の荷物整理など、かなりハードな労働に耐える必要があります。
・荷物の破損やトラブルが起きた場合の保証がありません。
自力で引っ越す場合は、素人だけで荷物の搬出・搬入を行ないますので、壁や荷物が傷む可能性は非常に高いです。
しかし、荷物の破損やトラブルがあったとしても、保証は利きません。
特に注意しなければならないのは、「友達のせいにはできない」ということです。
仮に荷物を落として壊してしまったのが友達であっても、強く抗議することはできませんので、万一トラブルが起きたとしても、自己責任だと諦める覚悟をしておくのも大事です。
荷造りをしよう
荷造りは余裕をもって準備しよう
スムーズな引越しを行うためには、上手な荷造りが、重要なポイントとなります。
初めに苦労をして荷造りをすれば、引越し自体がとても楽になります。
荷物の量にもよりますが、余裕があれば約2週間前から準備を始めましょう。
直前になって急いで準備を進めると、大切なものの破損や紛失を招くことがあります。
なるべく早めに、余裕を持って準備を進めましょう。
荷造りの基本
引越しを行う上で最も大変なのが荷造りです。慣れないうちは、なかなか思い通りになりませんので、荷造りの基本を覚えておきましょう。
まずキーワードとして2つあります。
「運んでも壊れにくくすること」と、「運びやすくすること」です。
壊れやすいものはバスタオルで巻くなどすればよいでしょう。
運びやすくするためには、必ず重たいものは小さな箱、軽いものは大きい箱に詰めるように心懸けましょう。
詰め込みすぎたり、本などをたくさん束ねると、箱の底が抜けたり、1人ではとても持てない重さになってしまいます。
直前まで梱包しないほうが良いもの
張り切って一度に梱包してしまわずに、まずは引越し日までに毎日使う物をよく考えましょう。
ふとんは引越し当日まで使用するものなので、最後に梱包しましょう。荷物を搬出した後は軽い掃除も必要なので、掃除用具は最低限必要なものを残します。
引越し会社への支払い、ガスの開栓手続き、水道の手続きなど、サインや捺印は常に求められるので、印鑑や預金通帳、最低限の筆記用具なども梱包してしまわないように注意が必要です。
モノ別に賢い梱包方法を知っておこう
荷造りの基本を理解したところで、モノごとに適した梱包方法をチェックしましょう。
壊れやすいものや、重いものなど、モノごとの特性を把握して引越しを効率よく進めましょう。
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本・雑貨
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本や雑誌は箱に入れず大きさをそろえてヒモでしばります。
この時、本棚の幅(1段ごと)に合わせておくと、しばった後に元の棚へ戻すことができるので、荷物置場が不要となって便利でしょう。
雑貨は日用品や工具類を除き、部屋ごとにまとめて梱包します。
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食器・調理器具
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食器の箱詰めは緩衝材を必要とします。
キッチンペーパーや布巾で1枚ずつお皿や茶碗を包み、バスタオルなどを緩衝材として使いましょう。
必要以上にゴミも出ず、お皿を洗ってからしまう手間も省けます。
同様に鍋やフライパンも重ねてビニール袋に入れてから梱包すると便利です。
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洋服
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衣服はシーズンごとに分類して箱に詰めましょう。
ハンガーに掛かっている物はそのまま箱に入れておくと、荷ほどきの時に便利です。
シワになると困るスーツ類はハンガーごとふんわり詰めましょう。
詰めすぎるとシワになってしまうので注意してください。
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靴
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靴箱があれば靴箱に入れます。
箱がないときはクシャクシャして広げた新聞紙など、しわしわの紙でくるむと傷がつきにくくなります。
底面を合わせて、そのまま浅い箱へ隙間のないように入れると型くずれすることなく運べます。
緩衝材は、食器だけでなく小型家電や靴の梱包にも使えます。
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冷蔵庫
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庫内の食品をあらかじめ処分しておくことはもちろん、移動する前日には電源を抜いて霜取りをし、当日運び出す前に下にある受け皿の水を捨てておきましょう。
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洗濯機
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ホースの中の水を抜き、洗濯槽に付属備品を入れておくだけでOKです。
運ぶときにフタが開かないように、布テープ等で止めておきます。
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テレビなどのAV機器
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振動に弱いので、ほかの荷物と一緒に運ぶときは毛布で包むなど丁寧に扱うようにしましょう。
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パソコン
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買ったときの箱がある場合は、その箱と緩衝材を使って梱包してください。
捨ててしまってない場合は、エアーキャップや厚手のバスタオル等で3重くらいに巻きます。
最近は宅配便業者がパソコン発送専門の梱包セットを用意しているので、パソコンだけを宅配便で送るという方法もあります。
パソコンは振動に弱いので、万が一のためにデータのバックアップをとっておくことも大切です。
冷蔵庫・洗濯機の水抜き
意外と忘れやすいのが冷蔵庫・洗濯機の水抜き作業です。
前日の夜には冷蔵庫の中をきれいにして、電源を抜いておきましょう。忘れてしまうと運送中に水がこぼれて、ほかの荷物をぬらしてしまいます。
閉栓・移設手続きをしよう
新居に引越ししたものの、電気もガスも通っていない・・・といった事態を防ぐために、電気・ガス・水道などの移設手続きは早めにし、引っ越し当日から快適に過ごせるよう手配を忘れずに行いましょう。
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転出届
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旧住所の市区町村役所へ本人または世帯主が出向いて、「転出届」用紙に記入・提出する。「転出証明書」が発行される。
これは住所が変わる場合に転居場所への住民登録に必要。そのとき一緒に印鑑登録が自動的に抹消される。
※必要なもの:身分証明書や印鑑、国民健康保険証。
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引越しの2週間前から当日まで。
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電力会社
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旧居でブレーカーを下げ、新居で上げる。電力会社へは電話し、使用停止や開始の連絡をする。
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引越しの1~2週間前までに手続きを行うことが理想ですが、最悪当日でもOK。
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ガス会社
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ガス会社に電話で引越し月日、新住所、氏名、旧住所、およびそこで使用していたガスの種類を伝え、閉栓の日取りを伝える。
職員が立ち会いのもと閉栓作業を行う。転居先のガス会社にも開栓の予約が必要。
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引越しの1~2週間前までに手続きを行うことが理想ですが、最悪2日前でもOK。
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水道局
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旧住所を管轄する水道局、水道課へ使用停止の連絡をすると、使用停止日に係員が来てメーターの確認をしてくれる。
口座引落しの場合、新住所管轄の水道局へ事前に電話連絡しておけば、そのままの引落し可能。
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引越しの1~2週間前までに手続きを行うことが理想ですが、最悪2日前でもOK。
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郵便局
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引越しの1週間前までには、旧住所の所轄郵便局で「転居届」のハガキを入手。
記入して投函すると向こう1年間転送される。
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引越しの1~2週間前までに手続きを行うことが理想。
遅くなれば引越し先へ郵便物が届かないことも。
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携帯電話
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住所が変わったときは携帯電話についても連絡が必要。
電話連絡のみの場合と、書類を郵送してもらい、記入・提出が必要になる場合がある。
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期限は無いが、早めに提出する。
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固定電話
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移転はNTTの局番なしの「116番」へ連絡する。その場で新しい電話番号を選べ、工事の予約も入れることができる。
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引越し当日でも問題ない。
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インターネットプロバイダー
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それぞれのプロバイダーのページに案内があるのでその指示に従って、電話や変更用紙取り寄せなどをする。
オンラインで変更手続きができるところも多い。
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各プロバイダーにより異なりますが、2~4週間前までには手続きを行うことが理想。
引越し当日にすること
どんなに慎重に準備をしていても、引越し当日はあわただしくなるもの。当日にするべきことをしっかりチェックして、スムーズに引越しを進めましょう。
引越し当日に、部屋の状況を確認しておこう
新居に不備がないか、当日に確認をしよう。
後々のトラブルを防ぐためにも、新居の設備の最終チェックを行いましょう。
引越し当日は問題ないかをチェックできる最後のタイミング。入居してしまってからでは、先住者がつけたキズなのか、あなたがつけたキズなのかが曖昧になり、トラブルのもとになる場合があります。
もし、先住者が残したと思われるキズなどがあった場合は、「これは前からです」ということが証明できるように、日付の入るカメラで写真を撮っておくのも一つの方法です。
各種手続き、荷物の搬入などを計画的に行おう
ガスは前もって予約していた日時に、ガス会社の社員立ち会いのもと開栓します。
水道は元栓を自分で開栓し、開栓連絡用のハガキに必要事項を記入して投函し、開栓したことを水道局へ知らせましょう。
電気は自分でブレーカーをONにして使用可能な状態にします。水道と同様、ハガキに必要事項を記入して投函してください。
利用可能な状態にしてからいつまでもハガキを送らないでいると、無断で利用していると思われてしまいます。
水道局や電力会社が訪ねてきて注意されるので早めに送りましょう。
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転出届
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市区町村内で引越しをしたとき。
本人または世帯主が市区町村役所へ出向いて、「転居届」用紙に記入・提出する。
必要なもの:身分証明書や印鑑、国民健康保険証。
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引越した日から14日以内。
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転入届・印鑑登録
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市区町村外へ引越しをしたとき。本人または世帯主が市区町村役所へ出向いて、旧市町村役所で発行してもらった「転出証明書」を提出する。
このときに印鑑登録の登録申請も出す。
「転出証明書」を紛失した場合は旧住所地での再交付が必要。
必要なもの:登録する印鑑、顔写真付きの身分証明書、転出証明書」
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引越した日から14日以内。
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電力会社
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備付けの電気使用申込書に記入し投函する。
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引越し後早めに投函する。
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ガス会社
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事前に連絡しておいた開栓日に、検漏試験(ガスもれ試験)、燃焼試験(不完全燃焼などの防止)、器具の調整を本人立ち会いのもと行う。
ガスコンロなどの器具はそのときに使用前の調整をしてもらうといいでしょう。調整期間中は、ガス会社が調理用コンロやガスストーブを貸してくれる。
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引越し直後。
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水道局
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旧住所を管轄する水道局、水道課へ使用停止の連絡をすると、使用停止日に係員が来てメーターの確認をしてくれる。
口座引落しの場合、新住所管轄の水道局へ事前に電話連絡しておけば、そのままの引落し可能。
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引越し前の手続きが必要。1~2週間前までに手続きを行うことが理想ですが、最悪2日前でもOK。
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運転免許証
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引越し後に、所轄の警察署もしくは運転免許センターで、運転免許証の住所変更をする。
必要なのは運転免許証、印鑑、新住所を証明できるもの。
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期限は無いが早めの手続きが理想。更新の案内が自宅に届かないこともある。
◆旧居の挨拶まわり
今までお世話になった旧居の大家さん、管理人さん、ご近所、知人などへの挨拶をしておきましょう。
引越し当日は何かとバタつくので前日までに済ませておくとよいでしょう。
大家さんや管理人さんへの挨拶の際は、引越し当日の部屋の明け渡しや鍵の返却の段取りについて改めて確認しておきましょう。
ご近所への挨拶では引越し当日、荷物の搬出入などでなにかと迷惑をかけることをあらかじめ連絡しておきましょう。
◆新居の挨拶まわり
新居の大家さん、管理人さん、両隣りや上下階の住人の方に挨拶をします。
その際は「隣に越してきました、○○です」といった言葉だけで十分です。
一緒に何か渡したい場合は、500円~1000円程度の物であればお互いに負担にならずよいでしょう。
食品は好みや消費期限があるので避けたほうが無難です。洗剤やタオル、ハンカチセットなどの日用品を選びましょう。
◆引越しが落ち着いたらなるべく早く役所への届け出を
転入届は引越しから14日以内に新住所地の市区町村役所に提出します。
前の住所地で発行してもらった転出証明書の添付が必要なため、転出証明書は、引越し作業中に紛失しないように貴重品などと一緒に大事に保管しておきましょう。
また、国民健康保険、国民年金についても14日以内に行う必要があります。
印鑑登録についての期限はありませんが、急に必要になった時のために同じタイミングで申請した方がよいでしょう。